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家族を持つ権利について 柴田 すい子
いま全国の療養所に、平均年齢80歳の人たちが約2900人、ほとんど家族との交流も途絶えたままで暮らしています。この人たちを最後まで安心して人生が送れるよう、多くの国民の支援を受けて、「ハンセン病問題基本法」制定の100万人請願署名に取り組んでいます。 私は療養所を退所して40年、苦労を重ねて生きてきました。そのうち30年間はさまざまな差別とたたかい一般企業で働きましたが、それが私の生きる自信になりました。2001年に、私たちの闘ったハンセン病違憲国家賠償訴訟の勝利判決によって、国のハンセン病患者への過酷な扱いが、社会に知れ渡り、正しい理解が進むようになりました。 現在、退所して社会生活をしている人は約1400名いますが、3分の1は60歳を超え、子供がいません。これらの人たちのこれからの生活が問題になってきています。2002年IDEAの主催で、アメリカで開催された、国際ハンセン病女性会議に参加し、他国の女性がお医者さんや職員に指導され、児童相談員や、看護師として社会的地位をもち、子どもをもって暮らしているのを知りました。そのときの、「ハッピー、ハッピー」という声がいつまでも耳に残りました。その姿に、日本の女性の不幸を見せ付けられました。貧しくとも暖かい家族があればハッピーです。 私には6人の兄弟がいましたが、今は弟と私だけになり、他は他界しました。先日弟と50数年ぶりに会う予定でしたが、わたしの術後の足が思わしくなかったこともあって、この会議の前に会うことができませんでした。家族を持つ権利を奪われた今、再びこうした不幸を繰り返させないためにも、元気にやっていきます。 これからさらなる友好を願っています。 |
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