平成22年度 事業報告書(平成22年4月1日から平成23年3月31日まで)
事業の成果 (1)ハンセン病に対する差別・偏見除去のための啓発事業、(2)国内外のハンセン病患者・快復者との交流及び支援事業、(3)ハンセン病関係の資料の収集・情報提供事業、の3事業を事業計画として掲げ、取り組んだ。
(1)の啓発事業については、①講演、②写真展の開催、③園内案内と国立ハンセン病資料館における説明、④その他の活動、の四つが主なものであった。
① 講演については、森元美代治理事長が41回、行なった。 ② 写真展については、八重樫信之理事が撮影した「絆―日本・韓国・台湾のハンセン病」の写真展を国内で10回開催した。3月末から4月初め、第6回ハンセン病市民学会のプレ企画として現地実行委員会の尽力で、岡山市のデパートで開催され新聞やテレビで紹介された。 ③ フィールドワーク(全生園と国立ハンセン病資料館案内)は、IDEAジャパンに説明依頼があった団体に対して、森元美代治理事長が30回案内し、説明した。 ④その他の活動としては、第5回ハンセン病市民学会家族分科会のシンポジウムの記録を、日・英・韓・中の4カ国語別のブックレト『絆〜ハンセン病家族の国際連帯』として出版した。
(2)国内外のハンセン病患者・快復者との交流及び支援事業については、①生活改善のための支援(交流及び支援)、②奨学金支給、の二つが主なものであった。 ①IDEA中国、IDEAインド、IDEAフィリピン(クリオン島)へ生活改善資金を提供した。また5月に岡山市と高松市で開催された第6回ハンセン病市民学会に理事長、理事、会員多数が参加した。森元理事長は、教育部会の分科会「新良田教室の残したもの」にパネリストとして参加した。8月に森元理事長夫妻がインドネシアのハンセン病コロニーを訪問した。クリオン島に子供服を送付した。
② IDEA中国、IDEAインド、IDEAフィリピン(クリオン島)、IDEAネパールの学生に奨学金を支給した。
(3)ハンセン病関係の資料の収集・情報提供事業については、①IDEAジャパンのニュースレター(ハンセン病市民学会特別号、9号、10号)の発行、ホームページによる情報発信 ②資料提供がある。
① ニュースレター9号では、森元理事長の母校・新良田教室(長島愛生園にあった療養所唯一の高校)の存在意義、郷里の喜界町立第2中学校の後輩たちとの交流について触れ、新良田教室で受けた教育、故郷で応援してくれる後輩たちの存在が、理事長の人生でいかに大切であるかを書いた。毎年、11月3日に開催される全生園祭のIDEAバザーに、10年間続けて協力してくれている同志社女子高校の平松譲二先生の寄稿文「隣人愛を求めて」を掲載した。同校では、聖書の授業を通してハンセン病問題を学び、全生園で出会う人びとの「痛み」を感じることで、お互いに共生できる社会を願う教育を実践している。村上事務局長は、ブックレット『絆—ハンセン病家族の国際連帯』出版までの紆余曲折について経過報告した。その結果、会員から約100部の購入申込があった。
ニュースレター10号は、韓国で開催された「国際フォーラムinソウル」の特集号として発行した。分科会「尊厳の確立」で森元理事長「われわれの人生を踏みつけないでください」と蘭由岐子会員「日本におけるハンセン病差別の今日的様相」、分科会「マスメディアの責任」で村上絢子事務局長「一緒に歩いて行きましょう」と八重樫信之理事「つながって生きる」が、それぞれ英語で報告したプレゼンテーションの要約を紹介した。国際フォーラムに初参加し、各国のIDEA会員と交流した九重能利子会員の感想を掲載した。ソウル宣言、韓国ツアーの写真ルポ、昨年12月に逝去された、IDEAジャパン推薦人の大谷藤郎先生の追悼文を掲載した。
ホームページについては、適宜更新するとともに、自動翻訳機によって英語でも読めるようになったので、各国のIDEAメンバーにも情報を発信している。
②資料提供では、ブックレット『絆』の英語版、韓国語版、中国語板を世界のIDEA会員に送付した。
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