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「隣人愛」を求めて ~10年目の多磨全生園訪問~ 同志社女子中高 聖書科教員 平松譲二
京都の同志社女子中高という学校は、ハンセン病と誤診されたにもかかわらず、その生涯を看護師として患者の方々のために尽くした井深八重さんの母校です。生徒たちは中学1年生で本校に入学するとすぐに、先輩の井深八重さんの人生について詳しく学ぶ機会があります。また、毎朝行われる礼拝でもハンセン病に関するお話を聞く機会が多いということもあり、ハンセン病の問題は多くの生徒たちにとってごく身近な存在なのです。また、私が担当する高校3年生の「聖書」という授業では、1学期間かけて日本のハンセン病問題の歴史や課題を共に学んでいます。そして、この授業を通して、「元ハンセン病患者の皆さんと出会いたい!」「多磨全生園に行ってみたい!」と思ってくれる生徒たち20~ 30人の有志と教員3名が、毎年多磨全生園を訪問させていただいています。 聖書には「善いサマリア人のたとえ」という、生まれながらに差別を受けてきたサマリア人が、追いはぎに襲われた人を助ける物語があります。追いはぎに襲われて傷ついた人は、ユダヤ社会のエリートといわれる祭司や律法学者からは見て見ぬふりをされるのですが、サマリア人はその人を助けて介抱するのです。それは、いつも差別されて心が傷ついているサマリア人だからこそ、その人の痛みを自分の痛みとして感じることができたからだと、イエス・キリストは語っています。そして、サマリア人のような「隣人愛」を持つことこそ大切なことだと教えています。また、イエスはそのたとえ話の最後に、「あなたも行って(サマリア人と)同じようにしなさい。」と語っています。 同志社女子中高で学ぶ高校生として、元患者さんたちに対して「何かをする」ということには時間的にも能力的にも限界もあります。しかし、出会う人々の「痛み」をほんの少しでも感じ、たとえ僅かでもバザーを通してIDEAジャパンの皆さんの活動にお役に立てたら嬉しく思います。そして、この隣人愛の輪がどんどんと広がっていき、お互いに共生できる社会になってほしいと願っています。初めての療養所訪問で最初は緊張していた彼女たちでしたが、「普通のとこやった!」と、今年もみんな笑顔で帰ってきました。 |
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