ニュースレター No.14 (2012年09月15日発行) (1) (2) (3) (4) (5)
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IDEA国際会議に参加して

理事長 森元 美代治

3、4年に一度の割合で行われるIDEA国際会議が、本年5月7日より5月11日までの5日間、IDEAセンターの所在地、ニューヨーク州セネカフォールズで開催されました。IDEAジャパンからは私たち夫婦が参加しました。今回の会議はIDEAセンター事務局長アンウェイ・ローさんの呼びかけによるもので、世界中にあるハンセン病療養所のどこか1か所でもいいから世界遺産に登録できないか、調査検討したいということでした。20世紀、人類が犯した戦争、飢餓、病気等に対する数々の過ちの一つとしてハンセン病療養所の存在は、負の歴史的遺産として後世に残し、伝えることが重要だと考えたからです。

この世界遺産の考え方の発端となったのは数年前、台湾の新荘市にある楽生院が地下鉄敷設計画により、入所者が強制移転させられるという深刻な問題が惹起したことでした。これを阻止するために台湾政府に抗議運動を展開する過程で、楽生院をハンセン病の歴史資料館として永久保存させるために世界遺産に認定してもらうしかないと考えたのです。

今や、世界のどの国においてもハンセン病の新発生患者が激減しているために療養所やコロニーが統廃合されつつあります。IDEAが組織されている23カ国では、自分たちが偏見・差別に晒されながら過酷な境遇の中で生き抜いた証としてハンセン病資料館を作りたいという気運が高まっています。そこでIDEAセンターではこうした世界的な気運の集大成として世界遺産登録を考えたのです。しかし、IDEAがめざす大きな問題提起をする今回の会議に参加したのは、自費参加できる日本、台湾、ブラジル、コロンビア、アメリカの5カ国だけでした。IDEAセンターは、世界的不況のために活動資金が集まらず、各国代表を招待する余裕がなくなっているのです。

会議は通訳を含め19名で構成され、連日熱心な協議がなされました。ブラジルからは、各国の施設それぞれを世界遺産に登録申請してもらいたいという意見もありましたが、これは非常に難しい問題であり、IDEAセンターとしてはとりあえず世界のどこか1か所だけに絞りたいとのことでした。その候補としてダミアン神父で知られるハワイのモロカイ島カラウパパ、フィリピンの国立クリオン療養所、韓国ソロクト療養所、台湾楽生院、日本の国立療養所等が挙げられました。

世界遺産の登録を目標にIDEAは、あらゆる人権問題との連携をメインテーマにして、資料収集や情報交換に努め、各国IDEAと協力して活動を続けようという決意表明をして会議は終了しました。


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