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家族部会で国際交流 理事長 森元 美代治
わが国のハンセン病問題の最も困難で遅れている点は、家族との関係の修復です。いろいろな疾病があって、それぞれの患者組織や家族会が独自の活動をしています。しかし、ハンセン病に関しては、長い間、家族との関係が絶たれた状態が続いていて、最近まで「家族会」はまったくありませんでした。身内に患者がいれば、必死で隠した長い歴史があり、「らい予防法」廃止後、身内との交流を復活できたのは、私を含めて数名に過ぎないと思います。 そういう「私」ですら、「森元家」の墓だけには入れてもらえません。私の名前が墓石に刻まれれば、甥、姪、孫、さらにその子どもたちの結婚に差し障りが出てくるからというのです。私も無理して入ろうとも思いませんが、いずれ多磨全生園の納骨堂で無縁仏として眠るしかないと思っています。 隔離の100年の歴史の中で、偏見差別が根付いてしまって、法の廃止や、裁判に勝訴したからといって、当事者自身の気持ちが完全に解放されたわけでもなく、「いまさら家族に迷惑をかけたくない」と思っているのです。多くの支援者が「ふるさと」に連れて行ってあげたいと試みても、当事者がなかなか乗ってきてくれません。 2001年5月11日の熊本判決を契機に、5年前に「ハンセン病市民学会」が設立され、同時に「れんげ草の会」というハンセン病家族遺族の会が立ち上げられました。かつては「未感染児童」として差別されてきた、ハンセン病患者を親に持つ子どもたちが中心になってつくった会です。 去る5月9・10日、星塚敬愛園のある鹿屋市で「第5回ハンセン病市民学会in鹿屋」が開催され、分科会Cでは、日本の「れんげ草の会」、台湾家族会、韓国家族会、ハワイ家族会(オハナの会)による、きわめて感動的な、刺激的な国際交流が行われました。 IDEAジャパンは、オハナの会を市民学会に招請して、日本やアジアの家族会との交流を図ろうと、去年から交渉してきましたが、このたび実現できたことは、会員の皆様のご協力によるものと、心から感謝申し上げ、ご報告する次第です。 本号ニュースレターは、この家族部会の国際交流特集号として発行します。ぜひご一読ください。。 |
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