ニュースレター No.3 (2007年2月発行) (1)(2)(3)(4)(5)(6)
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療養所の将来構想は

理事 村上絢子

07年、国立ハンセン病療養所の入所者数は約3000人と減少し、平均年齢は80歳に近づき、入・退所者ともに高齢化が進み、合併症も増えて、看護・介助職員を増員する必要性が高まっています。熊本判決を生かしたかたちでの入・退所者の将来をどのように保障し、ハンセン病問題の最終解決を図るかが緊急の課題となっていますが、外部の人間には図り知れない複雑な問題が絡み合っていて、その困難さを実感しています。
  • 「最後の一人まで面倒をみる」と国は約束しましたが、具体的にどのように実現するのか。
  • 高齢化した退所者が入所を希望した場合、健常者である配偶者の問題がありますし、また地域に開かれた療養所としての存続を考えた場合、らい予防法の廃止に関する法律(廃止法)の第二条(ハンセン病であった人たちしか療養所には受け入れない)がネックになっています。
年間平均約200人ずつ死んでゆくことを考えると、全国13の療養所があと何年存続できるかは、目に見えています。もうすでに、医師が欠員のままだったり、売店が閉鎖されて日常生活に支障が出ている療養所があります。「ここが第二の故郷だから、ここで生きたい」「最後の一人になりたくないから、早く死にたい」と言う入所者の声に、私たちはどう応えたらいいのでしょうか。
入・退所者が一般社会におけると同等で、遜色のない医療を受けられる権利を保障し、療養所を開放された共生の場にし、地域に還元するための具体策はあるのでしょうか。現在、各園ごとに入所者数、地域の特徴を考慮した将来構想を作成中だそうです。
たとえ入所者が一人になっても統廃合を許さず、入・退所者が一市民として「生きていて良かった」と思える医療体制を実現し、差別の壁を克服し、二度と過ちをくり返さない社会実現のために、廃止法を改正し、ハンセン病基本法の制定を求める運動を支援してほしいと、入・退所者、全療協、ハンセン弁護団は、市民に呼びかけています。

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