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ハンセン病療養所 −韓国ソロクト・台湾楽生院を訪問して
事務局長 水藤一彦
朝鮮半島南端部にある緑に覆われた小さな島、ソロクト(小鹿島)には、年間52万人もの観光客が訪れるが、日本統治下で「ハンセン病患者」と「朝鮮人」という二重苦の中で生き、死んでいった人のことを知る人は少ないという。 島の中央部がかつて「患者地帯」と言われた、韓国唯一の国立ハンセン病療養所「小鹿島更正園」(現国立ソロクト病院)で、約700人が生活している。その中で日本統治時代に収容された人が117人(平均年齢82歳)。レンガづくりやカマス(藁袋)づくりなどの強制労働のため手足を切断されて、ひどい後遺症を残す人が多い。 病棟や自治会室の他に、四方を3.5メートルの塀で囲まれた監禁室、解剖室が残っている。解剖室には、死体解剖をする台や、堕胎手術などを行った手術台が保存されていた。資料館には、逃亡したり、日本人に反抗した場合、額や肩に押し当てたという焼きごてが展示されていた。 日本の植民地下で日本における以上の残酷な、非人間的なことをした人たちに対し、強い怒りを覚えると共に、偏見と差別のもたらす恐ろしさを感ぜずにはいられなかった。 2. 台湾 第二の強制隔離 楽生院は新荘市にある台湾で唯一のハンセン病療養所で、入所者は343人(平均年齢74歳)。まず人目を引くのは電動車椅子の使用者が非情に多いことである。これは、手足に後遺症のある人が多いということと、院が山中に建てられていて、ほとんどの道が坂道であることに基因している。 楽生院は、ソロクトと同様の訴訟問題の他に、地下鉄移転問題を抱えている。市当局は、車庫や修理工場建設のため、楽生院を取り壊し、入所者を隣接する病院に強制的に移住させようとしている。入所者は「我家」である楽生院を奪われると同時に、再び病院の中に「隔離」されるということで強く反対している。 今回の視察旅行の目的は、原告の支援と「強制移転反対集会」に出席することであった。谺雄二さん(ハンセン病訴訟全国原告団代表)と森元美代治理事長が強制移転反対の決意を表明し、入所者を激励した。翌日は衛生署(日本の厚労省)と行政院を訪問し、移転の撤回を求め、声明文を手渡してきた。 以上の訪問を終え、国際連帯の必要性とIDEAジャパンへの期待を痛感している。 |
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